鯛(魚)の黒い筋(線)は何?

2021年9月3日

鯛の刺身用(サク)を切ろうとするときに一番目につくことが多いと思います。結論から言うと黒い筋は鯛の毛細血管になります。普段目にすることはありませんが、魚にも無数の毛細血管があります。

なぜ黒い線(毛細血管)が出てしまうのかというのは、一説にはストレスがかかったといわれています。

それは生育環境なのかもしれませんし、水揚げされたときに暴れているからなのかもしれません。スーパーで売られている鯛はほとんどが養殖になりますから、養殖魚は狭い環境で育てられているのでストレスがかかりやすいのです。

いずれにしてもストレスがかかってしまうと、魚はうまみ成分がどんどん薄れていってしまいます

ですから鮮度のよい魚はほとんどが活〆されます。活〆とは魚の神経に針を刺して即死させる方法です。

一見恐ろしい話のように聞こえますが、生き物はじわじわ弱らせるよりも、一瞬で〆てしまうほうが鮮度がいいのです。じわじわ弱らせるということ自体ストレスを与え続けていることにもなります。水揚げされてから陸に上げられて魚がバタバタしている状態が最も魚に取ってよくない状態です。

また活〆してからも、そのままにしておくと、血が体内に回っていってしまいます。これは青魚(ブリやサバ)に多いのですが、あまりに時間がたちすぎると身が赤くなってきてしまいます。それを防ぐために血抜きといって、魚の身に入っている血をすべて抜く作業をする漁師さんや業者さんもいるくらいなのです。

そうすることで鮮度が抜群のうまみも凝縮された魚になるので、もちろん価格はとても張りますが、一級品の魚になります。

だからといってスーパーで買わないほうがいいのかというとそうではありません。

スーパーはあくまでも一般消費者に向けて販売されているものであり、一級品の鮮度を提供しても価格が高すぎて手が出なくなってしまいますから、本当に物がいい魚を買いたいのであれば市場に行くしかありませんが、家で食べる分にはほとんど問題ありません。

ただすべての鯛に黒い線(毛細血管)が浮き出ているわけでもないので、その点は陳列されている商品を見比べてみることをお勧めします。比較的お腹側よりも背中側に見られることが多いので、気になる方はお腹側の冊(サク)を買うことをお勧めします。

鮮度の見極めに自信がなく魚を買うことを躊躇する方も多いと思います。そのような場合にこのような鮮度の見極め方がわかる本を1冊手元に置いておくだけでもスーパーの魚選びに役立つと思います。